2014年10月11日土曜日





3回 年次大会
(関西大学大学院英語英米文学研究会 
                             関西大学英語学会 共催)
今年度は、京都大学大学院から桂山康司先生を講演にお迎えします。研究発表、4年生の卒論構想発表会もありますので、ぜひ誘い合わせてご参加ください。また、学会員の方に「英米文学英語学論集」を配布します。卒論ワンポイントレッスンが掲載されていますので、ぜひ活用して下さい。

日 時 : 20141011() 13:0018:00
場 所 : 関西大学 第一学舎 1号館 A601 A602
12:30               開場・受付  

13:1014:30      卒論構想発表会
1.(13:1013:30) 
2.(13:3013:50) 
3.(13:5014:10)
4.(14:10~14:30)    

14:4016:10      研究発表
英語学 (A601)
中野阿佐子(D1)
   「形容詞「こわい」「おそろしい」の一考察 
         ―コロケー ションに見る類似点・相違点―」
藤本雄馬(D2) 
  「The Intelligibility of English with a Japanese Accent : 
   Defining a continuum based on phonetic features
玉木雄三(元堺女子短期大学教授)  
       「MidWith、その競合の軌跡」

英米文学 (A602)        
指出尚枝(M1) 
     「スペンサーの白鳥の歌 ――『プロサレイミオン』再考――」
加藤明子(M1) 
     「ハリー・ポッターにおける善と悪の対立」
上村周平(D2) 
  「指環物語における指環の起源」



16:2018:00      ●   (A601)




「詩的言語とはどのようなものか


  ――ロチェスター卿とキーツを例として」




桂山 康司



(京都大学大学院准教授 





       日本ミルトン協会会長)



    司会 高橋 美帆  (関西大学教授)





18:3020:30         ● 懇親会  新関大会館4階 「チルコロ」    



本学学生  ¥2,000    一般学生 ¥2,500   一般  ¥3,500(予定)


12:30
13:10
13:30
13:30
13:40
13:45
14:00
14:00
14:15
休憩
14:4015:10
15:1015:40
15:4016:10
16:2018:00
18:30
20:30
受付

卒論
構想
卒論
構想
卒論
構想
卒論
構想
研究発表1
(英語学)
研究発表2
(英語学)
研究発表3(英語学)
講演
懇親会
卒論
構想
卒論
構想
卒論
構想
卒論
構想
研究発表1
(英米文学)
研究発表2
(英米文学)
研究発表3(英米文学)









<連絡先> eibuncm.kansai-u.ac.jp


関西大学英米文学英語学専修合同研究室  TEL06-6368-0320


2014年10月10日金曜日

◎講義 要旨◎  桂山 康司(京都大学大学院准教授)

まず、詩人としての評価が比較的安定しているジョン・キーツ(1795-1821)を取り上げ、その詩的表

現の特徴を考察する。次に、詩人としての評価が最近になるまで定まらず、むしろ、ポルノグラフィッ

クと貶められることの多かった王政復古期の詩人、ロチェスター伯(1647-80)の作品について考察

する。両詩人の作風は、一見したところでは、全く相容れない対極にあるように見えるが、果たして

そうであろうか。「詩的であること」の真価は、題材にではなく、言語表現の特質にこそ求めるべきも

のである事を、作品の精読を通じて検証し、更には、その作業を通じて、詩的言語の質の一端を

明らかにしたい。

〇発表 要旨〇中野 阿佐子(D1)

形容詞「こわい」と「おそろしい」の一考察
―コロケーションに見る類似点・相違点―

本研究では恐怖を表す代表的な形容詞「こわい」と「おそろしい」について、コーパス(NINJAL for BCCWJ)を用いた[こわい/おそろしい+名詞]のコロケーションの分析から、その類似点と相違点を明らかにする。
ジャンル・年代別出現頻度と助詞に基づく統語関係に関して、両者間にはr=.82r=.81という強い相関がみられる。両者はとりわけ(1)に示す「もの」「こと」との共起頻度が高く、(2)を含んだ「こわい」との共起語上位10語はすべて「おそろしい」とも共起関係にある。したがって加藤(2009)でも指摘されるように両者の類似性は明らかである。

(1)  -の、-もの、-ん、-こと、
(2)  -顔、-話、-人、-思い、-夢、-ところ

一方、以下に示すように共起関係には偏りがみられる。(※ここでは上位50語において共起が見受けられないことを?で示す)

(3)  a.-顔
b.(?こわい/恐ろしい)形相
c. (
こわい/?恐ろしい)顔付き
(4)  a. -人、-奴
b.(
?こわい/恐ろしい)人間、人物、男
c.(
こわい/?恐ろしい)おばさん、おじさん、父親、先生
(5)  (こわい/?恐ろしい)馬、動物、映画
(6)  (?こわい/恐ろしい)出来事、事件、事態、事故、殺人、犯罪、現実
(7)  (?こわい/恐ろしい)光景、音、力、勢い

「こわい」は(3c)和語あるいはより砕けた表現、(4c) (5)具体的な人物や対象物との共起が認められる。一方「おそろしい」は(3b)漢語や固い語で、 (4b)ある程度の抽象度を保った基本レベルの語彙、あるいは(6)抽象的な事象や(7)視覚、聴覚等の五感にかかわる語と共起する。ここに明示される両者のふるまいの違いは、「こわい」の方が話者にとってより直接的で具体性の強い恐怖感を表すことができ、「おそろしい」の方がより抽象的あるいは客観的な恐怖感を表すことができるということである。ここから「おそろしい」は「想像すると」といったより間接的な恐怖感を含む解釈が可能となることが説明される。
本研究では、「こわい」と「おそろしい」の類似点と無意識的な解釈と使用の区別をコロケーションの観点から分析し、考察した。
参考文献
石川慎一郎.2012.『ベーシックコーパス言語学』ひつじ書房
加藤恵梨.2009.「「こわい」と「おそろしい」の意味について」『名古屋大学日本語・日本文化論集第7号』pp1-20
後藤斉.1995.「言語研究のためのデータとしてのコーパスの概念について―日本語のコーパス言語学のために―」『東北大学言語学論集』4
寺村秀夫.1982.『日本語のシンタクスと意味 第Ⅰ巻』くろしお出版
中村明.2010.『日本語 語感の辞典』岩波書店
Leech, G. 1991b  Corpora. In: Malmkjaer (ed.) , The Linguistics encyclopedia,
London: Routledge.
Sinclair, J.  1991 Corpus, concordance collocation.  Oxford: Oxford
University Press.

参考URL
NINJAL-LWP for BCCWJ
http://nlb.ninjal.ac.jp/search/
KOTONOHA少納言

              http://www.kotonoha.gr.jp/shonagon/search_form

〇発表 要旨〇藤本 雄馬(D2)

The Intelligibility of English with a Japanese Accent:
Defining a continuum based on phonetic features

What does the English pronounced by Japanese people sound like? Many researchers have written about the characteristic features of Japanese people’s English pronunciation. Some say that there are many “mistakes” in it so it is not intelligible (e.g., Kamiyama, 2008). Others say that it is just different from other varieties and it is a legitimate variety of English; in other words, Japanese people’s so-called katakana English pronunciation is intelligible (e.g., Suenobu, 2010). These ideas are often thought to be polar opposite. However, it would seem that there is a “continuum” among these different ideas about Japanese people’s English pronunciation, though it is possible to group different ideas together at various points along the continuum.
This presentation aims to define this continuum which will be used as a basis to explore the intelligibility of Japanese people’s English pronunciation in my ongoing research.


〇発表 要旨〇玉木 雄三(元堺女子短期大学教授)

MidWith、その競合の軌跡


前置詞mid(OE mid)with(OE wið)の戦いは13世紀初頭に始まり、14世紀末にはmidが完全に消滅するという、withの圧倒的勝利に終わった。その結果、to stay with a friendto fight with an enemyに見られるように、withが「随伴」と「敵対」という対照的な意味を担うようになってしまったのである。
 これら2つの意味は元来、midwithが分担していた。Mid stréameは「流れに沿って」(‘with the stream’)であり、wið stréameは「流れに逆らって」(‘against the stream’)であった。しかしmidに対するwithの攻勢は止まる所を知らず、ついにwithmidのすべての意味領域を侵食してしまったのである。言語の大きな使命である明晰性の担保という観点からすると、この変化は決して好ましい史的発達ではなかった。
 それでは、このような意味の不明瞭さを招きかねない史的変化は、なぜ起こったのであろうか。これまで、いくつかの要因が想定されてきた。しかしこの変化は、複数の因子が重なり合って生じたものであることは間違いない。ラテン語cumや古ノルド語(Old Norse)viðの影響など、外的な要因を指摘する論説も根強く支持されている。
 本発表ではこれまでの研究を踏まえながら、withmidの地位を脅かしていく過程において、現在のagainstにつながるOE起源のagain(ME aʒein, aʒen)が広く起用されていることに注目し、mid消滅の一因は英語の内的事情にあったということを明らかにしたい。